雲の隙間






第一幕 〜始まらない物語〜

第一話 主人公登場

此処は京の都、その都の近くにある静かで小さな森には小鳥達がさえずり

リス達が躍っている。しかし、

「ふぁーあ・・・・・ねむー」

その場所に似合わぬ一人の青年の姿があった。



青年は木の幹に寄っかかり眠っている。

リス達はなんのきなく青年に近づいて来た


そのとき


青年は電光石火の早さでリスを捕まえた。

「今日の晩飯に決定だ。ありがたく思えよ。」

どうやら、このかわいいリスを食べるらしい。

この青年の名は鴇(トキ)一応この物語の主人公に位置する人物である。

この青年には親はいない。物心ついた時にはもう一人であった。

彼は自分の親を捜し出しぶん殴るという目標がある。

自分を不孝に陥れたこの気持ちをはらさずにはいられないらしい。

そういうことで一人旅をしているというわけである。

だがしかし、一人旅というのは不便である。

まず猟をするにしても人手が無く、それにこの戦乱の中

その戦にぶつかったときには逃げる事しか出来ない。

「ううー、何日ぶりの食事だろうか。ながかった。」

青年は6時間ぶりの食事をオーバーに言う。

しかし、一人なのに説明口調で喋るかは、こういう物語には

ついて当たり前のことなのでご了承いただきたい。

「はー、それにしても此処はどこなんだ。迷ってしまった。」

彼は入り口のすぐ側に立っていたのだが、

なぜかそのことには全く気づいていないようだ。

注意力散漫といったところだろう。



この後、彼がこの森をでたのは1週間たった頃だった。





そのころ京の都では一つの事件が起こっていた。
その事件はいつも夜に起こる。

それは、泥棒だ。

一人でやっているのかそれ以上の人数かそれすらもわからない。

犯人は盗み去ったあっといつも羽を残していく。

それは熾翼(しきよく)の羽だった。

しかし盗むものがすごかった。がらくたばかりを盗んでいるのだ

その泥棒はわざとやっているのか、本気で間違って持っていっているのか。

それは当の本人にしかわからないだろう。

だけど、今までの犯行まではあまり被害が出ずにすんでいた。

だが今回は違う。何十回とこの事件は起こっているのだが、

今回初めて死人がでたのだ。

死人がでたことで京の都は騒然となった。

役所の人間はそこで、犯人の特定を急いだ。

そこで真っ先に疑われたのは・・・・鴇であった




とある森の奥

「へへっ頭、うまくいきましたね。」

「あったりまえだろ。誰がこの作戦考えたと思ってるんだい。」

そう、今回の盗みのグループはこの野盗たちであった。

「それにしても、さすが兄貴。いま最近巷を騒がしている盗人の反抗に似せるなんて

悪知恵だけは働くんだから。」

「ははは、そうだそうだ、悪知恵だけは・・・って悪知恵だけとは何だ

俺はそれだけが取り柄だとでも思うのか。」

しかし、真相は部下のいうとおりであった。

そして、その仲間内の一人が考え事をしていた。

(とうとう、人を一人殺してしまった。このまま、此処にいては俺が駄目になってしまう。

やめるなら今の内だな。)

この者の名は戒(カイ)

考え事とは、このグループから抜け出すことだった。


(よし、こうと決めたら早い方が吉だ。決行は今夜にするか)

一人抜け出す覚悟を決めた。


そして、運命の夜が来た

(よし、今の内にっと)

そして、このグループから抜け出すことに成功・・・したかと思えたが


運悪く、夜盗の一人からその姿を見られてしまった。

「大変だ、兄貴にしらせなきゃ」

・・・・・・・

「なんだって、戒がどっかに行っただって。ふっ面白いじゃないか

よしてめえら、狩りの準備をいそげ」

「アイアイサー」

そして、戒の物語が始まった。




京の警備隊の作戦室

「今回の事件は、いつもの盗人と考えて間違いないだろう。」

「そうですね、隊長。今回もそいつでしょうね」

今は今回の事件の犯人のことを話し合ってる最中だ。

しかし、此処にも一人考え事をしている人物がいた。

名前は翠(スイ)新米兵士である。

しかし、彼は恐ろしく頭の切れる人物である。

翠には、今回の事件がどこかおかしいことに気づいていた。

(なぜ、犯人は人を殺した。盗みはカモフラージュにしかすぎないのか?

犯人はいつもなら盗んだ直後に帰っているが今回は何時間もなぜそこにいたんだ

多分犯行はいつものヤツと違うやつらに違いない)

そう結論にいたった翠は隊長にこのことを伝えた。

しかし、返ってきた言葉は冷たいものだった。

「何寝ぼけたこと行ってるんだ。そんなことじゃいつまでたっても

新米のままだぞ。お前は私のいうとおりやっていればいいんだ」

そして翠はおもった。

(このクソオヤジが)と

そして翠は一人で犯人探しをすることを心に決めた。




とある場所

空を見上げている人物がいた

「時代が動き始める。今回はどう動くか楽しみだ」

一瞬後、人物は影も無く消えていた


つづく

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