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ファーストキスの行方は?・前編

 

 

「いつもの如くいきなり何だ?」

 しみじみと俺の前に座るアンテナ男が言った。

 そこまでしみじみ言われるほどか?

 しかもアンテナ男に??

「そのアンテナ男ってのは俺のことか?」

「何の事だ?」

「いや、さっきからアンテナ男、アンテナ男と」

 ぐはっ!またか!?またなのか!?

 などと思うがそれは顔に出さないでおこう。

「何の話か俺には良くわからんぞ、アンテナ男」

 しまった。口に出してしまった。

「ハァ……もういい」

 若いくせして老けてんな。

「誰のせいだ!!」

 どうやらまた口に出してしまったらしい。

 まあいいか、所詮アンテナ男だし。

「俺は北川だ!!」

 いつの間に改名したんだアンテナ男?

「元から北川だわい!!」

 そう怒るなよ、北川。

「だから俺はアンテナ男……はっ!?」

 若いな。にしてもなんで会話になっているんだ?

「お前が口に出してるからだ!!」

 ぐはっ!

「まあ、それは置いておこう」

「俺はそろそろ胃に穴があきそうだ」

「健康第一だぞ、北川」

「誰のせいだ!!」

 ふう、まるで俺のせいだと言いたげだな。まあ、ここは大人な対応を取ってやろう。

「俺のせいでいいから話を進めるぞ」

「きっぱりとお前のせいだ!!」

「して相談なんだが」

「次は無視か!?」

 悪い悪い。真面目な話、相談したい事があるんだ。

「そろそろ黙らんとドタマかち割るぞ、おどりゃあ!! 俺の話を聞けっちゅうとるんじゃ!!」

「ほっ、本音と建前が逆だ、逆」

「香里の事なんだけどな」

「いきなり普通にもどんなよ!!」

「キスしたんだ」

「だから無視……え?」

 聞かんヤツだな、まったく。しゃあない、もっかい言うか。

「香里とキスしたんだ」

 うおっ!いきなりムンクになりやがった!?すごいな、一発芸か?

 いかん、今はそんな話じゃない。本題に戻そう。

「それから香里の態度が妙によそよそしく……って、ええ!?」

 いきなりぼうだの涙!? 一転して白くなりやがった!?

「北川!! おい、北川っ!!」

 反応が無い。……ほかのヤツに相談したほうがいいな。

 

 

「と言うわけだ」

「ぜんぜん訳がわからないよ」

 それはそうだろう。何たって俺はまだ喋ってないからな。

 しかしその事に気付いていない当りが寝雪の寝雪たる所以でもあるな。

 まあ、それは置いといて本題に入ろう。

「なんか香里の態度がよそよそしいんだ」

「香里に何かしたの、祐一?」

 うむ、真面目に考えてくれてるな。やはり持つべきものはイトコだな。

「心当たりがあると言えばあるんだが」

「何やったの?」

「キスした」

 そのときの沈黙は何と言い表したら言いのだろうか?

 俺のボキャブラリーにそれを的確に表す言葉は無かった……

「祐一極悪だよ。今晩は紅生姜づくしだよ。ついでに香里も紅生姜づくしだよ!!」

「ぐはっ! なぜだ!?」

 沈黙から覚めた寝雪、もとい名雪はいきなり俺と香里の地獄に付き落とそうとしている。

「祐一にそれがわからないから怒ってるんだよ!」

 ヤバイ、一事撤退だ。

「じゃ、そう言う事で」

 俺は脱兎の如く駆け出した。無論その場から逃げるためだ。

 

 

 その後、色々と回ってみたものの、反応は総じて名雪に同じであった。

 何ゆえ!? 何ゆえ俺がこんな目に合わねばならんのだ!?

 この世界は狂っているのか!?

 仕方が無いので俺はこの世界の統治者に相談する事にした。

 初めからそうすればよかったと思ったのは秘密だ。

「と言うわけで秋子さん、一つ相談が」

 俺は目の前のパーフェクト主婦秋子こと秋子さんに相談を持ちかけた。

「わかってます。祐一さん、香里ちゃんの事で相談ですね」

 さすがは秋子さん、パーフェクト主婦です。わかってらっしゃる。

「それで香里の「香里ちゃんの態度がよそよそしいんですね」す」

 ぐはっ!何故にそこまで?

「知りたいですか?」

 いえ、滅相も無い。

「残念ですね」

 そう言う秋子さんの表情からは未陣も残念さが感じられないのは気のせいか?

「香里ちゃんですが、照れてるだけですから心配は無いですよ」

 なるほど、香里は照れていたのか。相変わらず可愛いやつめ。

「まさかファーストキスのあとに押し倒されると思ってなかったみたいですが」

 あ、あああああ秋子さん? もしかして見てらっしゃいましたか?

「そんな事無いですよ。名雪が帰ってこなかったら最後まで行きそうだったなんて知りませんよ」

 見てたな、絶対見てた。だってそれは誰にも言ってないもん。

「ここに新作のジ「最近医者にジャムは止められまして」そうですか。残念ですね」

 あ、あぶねぇ。

「とりあえず、香里ちゃんとゆっくり話して来て見てはどう?」

 たしかに。俺は嫌われたわけじゃないようだし、それが一番よさそうだ。

 さすがは秋子さん、パーフェクト主婦っス。

「香里とゆっくり話してきます。邪魔が入らない場所で」

「ええ、それが一番です」

「それじゃあ、行ってきます」

「祐一さん」

「はい?」

「これを」

 秋子さんが何かを投げよこしてきた。

 いったいなんだ?

 ……………………ぐはっ!

「あ、秋子さん!?」

「避妊は大切ですから」

 俺の手の中で輝く明るい家族計画。

 俺は話に行くだけなんだが……

「い、行ってきます」

 やっぱりこの世界は何処か狂ってる。

 いや、むしろ統治者が狂って「ジャム食べますか?」……まったく持ってすばらしい統治者である。

 

 

〜つづく〜


〜後書き〜
え〜、その、すいませんm( _ _ )m
遅れた上に、前後編……
いい訳の言葉もありませんm( _ _ )m
こんな私を許して(願

それはそうと四万ヒット、嬉しい限りです。
之も皆様の応援のおかげです。
今後も面白い(?)SSをお届けできるように鋭意努力します。
応援、よろしくお願いしますね。

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