ARMORDE CORE 蒼紅の月
「4年ぶりか、この街も」
荷物を背負い直しながら祐一は呟いた。雪の降る中、傘も差さずに歩いている。感慨深げに歩いていた祐一は急に立ち止まり、周囲の状況を見てある事に気づいた。
「ぐはっ!道に迷った………仕方ないとりあえず、雪がしのげる場所を探すか」
肩に積もった雪を払いながら祐一は周りを見渡す。そして大きなアリーナがあるのを発見した。少し思案したのち祐一はアリーナに向かって歩いていった。
第一話 出会い
アリーナでは白いACと黒いACの戦闘が行われていた。大きなスクリーンに映し出されるACの戦闘。それを見守る人々。アリーナが大衆の娯楽になのがよくわかる光景であるった。人ごみを抜け壁際に移動した祐一は荷物を降ろして雪を払った。
「白いACが勝つな」
誰に聞かせるでもなく祐一は言った。スクリーン上で戦闘していACの動きは、どの動きをとっても白いACのほうが上だった。その差は素人にはわからないくらい小さなものだったが、祐一にははっきりと理解できた。
「おぉぉぉぉっ!!」
スクリーンに見入っている人々が思わず息を呑ぬ。スクリーン上の黒いACと白いACがブレードの間合いに入った。ブレードを振りかざしで突っ込んできた黒いACを難なく捌く白いAC。捌かれ体制の崩れた黒いACに白いACのブレードが直撃する。たまらず後退する黒いAC。そこでひとまず攻防が終わるかと思われたが、その後退を予想して白いACが放った簡易グレネードが狙いたがわず直撃した。
WINNER
Valkyrie
電光掲示板が勝者の名を告げる。
「戦乙女か……。なかなかいい腕だな」
それから、ものの一時間ほど経っただろうか。そろそろ雪が止んだかと祐一はアリーナの外にを見た。しんしんと降り続く雪が目に入ってくる。先ほどよりも弱くなってきてはいるが、一向に止む気配はなかった。ため息を一つついた祐一は仕方なくアリーナを後にした。
「なっ、なんなんですか!あなた達は!?」
少し歩いた先の―――といっても100mほどだが―――駅前で少女が声を荒げる。セミロングの髪、儚そうな印象の少女だ。どうやら二人組みの男に絡まれているようだ。始めは「我、関せず」を決め込んでいた祐一も、口論がヒートアップするにつれほっておけなくなってきた。仕方なく仲裁に入る事にした。
「いい気になってんじゃないぞ!!」
仲裁に入るために声をかけようとした瞬間、激昂した一人の男が懐に腕を突っ込んだ。自衛の為の武器の所持を認められているこの世界で、その行為は間違いなく懐に仕込んだ武器―――おそらくは銃であろう―――を取り出すための行為である。「撃つ、撃たない」は別にしても、それは行き過ぎた行為である事は確かだ。
そこからの祐一の反応は速かった。いや、迅かった。銃を抜こうとした腕を左前蹴りで折り、そのまま上段回し蹴りを放ち男を昏倒させた。その後、少なからず殺気のこもった目線で残りの男のほうに振り向いた祐一は、吐き捨てるように告げた。
「女の子相手に大人気ない。そのくらいにしておけ」
「な、何だお前…やるってのか!!」
言葉では強気を装ってるが、それが虚勢である事は一目見れば明らかだった。仕方なく祐一はもう一度告げた。
「その男を連れてさっさと消えるのか、それとも一緒にお寝んねするのか、好きなほうを選べ」
「くそっ、覚えてやがれ!!」
祐一の底冷えするような視線を向けられた男は昏倒した男を抱え逃げていった。
「………大丈夫だったか?」
思わず本気な対応を取ってしまった祐一は少々後悔しながら少女に話し掛けた。
「あ、その、えーと、どうも助かりました」
どもりながら少女は答えた。
「私の名前は美坂栞です」
少女は屈託の無い笑顔で自己紹介をしてきた。どうしたものかと祐一は思案したが、少女だけに自己紹介させる訳にもいかず―――笑顔で待ってる少女の無言の圧力に負けたとも言う―――自己紹介を始めた。
「俺の名前はあ「栞ーっ!!」」
「あっ、お姉ちゃん」
祐一が自己紹介を始めた瞬間、アリーナの方から一人の少女が走ってきた。どうやら栞の姉のようである。軽くウェーブした長い髪、切れ長な双眸、少し大人びた感じのする美少女だった。栞も彼女のほうに歩いていった。
「待たせたわね、栞」
「遅いですよ。まったくいつまで待たせれば気がすむんですか、お姉ちゃんは」
軽く頬を膨らませて栞は姉を睨んだ。元が可愛いからか、怒った顔をしても全然怖くない。むしろ愛らしいとも言えると取り残されていた祐一は思った。
「時間はピッタリだけど?」
腕時計を栞に見せながら少女が言った。
「そっ、そんな事はどうでもいいんです。お姉ちゃんが早く来ないから変な人たちに絡まれたんですよ?」
遅刻していない相手を遅刻したように勘違いした恥じらいからか、栞は少し顔を赤くして先ほどのことを告げはじめた。
「というわけで、そんな事があったんですよ」
「で、栞、大丈夫なの?怪我とかしてない??」
よほど栞の事を大切に思っているのだろう。先ほどまでの大人びた感じは吹っ飛んでいた。
「この人が助けてくれたから大丈夫です」
「へっ!?」
そのような仲の良い姉妹のやり取りを笑顔で見つめていた祐一に急に話が振られた。急に話を振られた祐一は思わず間の抜けた声を上げた。
「どうやら妹がお世話になったようね、ありがとう。え〜と……」
「祐一、相沢祐一だ」
語尾でどもったのが名前を知らない所為だと察した祐一は少女に自己紹介をした。自己紹介と言うか名乗っただけだが。
「相沢祐一ね。あたしは美坂香里。香里って呼んでくれていいわ。相沢くんで良い?」
小首を傾げて聞いてきた。その動作が、年齢の割に大人びた感じを受ける印象をいい感じに崩しているなと祐一は思った。
「ああ、別に呼び捨てでも良いぞ」
「遠慮しておくわ」
「そうか?残念だ」
「二人とも、私をほって楽しげに会話をしないで下さい!!」
一人無視された感じだった栞が頬を膨らませて二人の間にわって入った。
「何言ってるの栞?あなたの事でお礼を言ってたんじゃない?」
「それはそうですけど!」
怒鳴る栞を無視して香里は祐一との会話を続けた。
「何か改めて御礼がしたいんだけど?」
「いや、そんなたいした事したわけじゃないし、別にそんなに気にしなくてもいい。それじゃ、俺は行かなきゃいけない所があるから」
軽く肩を竦めて、たいした事はしてないと祐一は主張し、美坂姉妹に別れを告げる間も与えず、歩き出す。約5mほど歩いたところで祐一はUターンして戻ってきた。
「どうしたの?何か忘れ物」
「………すまん、道を教えてくれ」
その言葉を聞いて、美坂姉妹は盛大に噴出した。
「祐一さんって方向音痴なんですか?」
「ぐはっ!そんな事無いぞ」
「でも道に迷ってるじゃないですか?」
「ほとんど初めて通るような道で迷っても、方向音痴じゃないと思うぞ」
実際は初めて通る道ではないんだが、記憶していない以上、似たようなものなので祐一はそう答えた。
「それでどこに行きたいの?」
「水瀬って言う人の家。知ってるか?そういや香里ぐらいの女の子がいるんだが」
その名前を聞いて二人は顔を見合わせた。
「ん、どうした?やっぱり知らないか?住所もあるんで方向だけでもわかると嬉しいんだが」
二人が知らないからその行動をとったのだと思った祐一はにポケットから住所を書いた紙を取り出した。
「ねぇ、相沢君。その女の子の名前って名雪って名前じゃない?」
香里の言った名前を聞いて祐一は先ほどの行動が知らないからとった行動じゃないと気が付いた。
「それで良いなら、一軒だけ思い当たる家があるわ」
「たぶん香里の思っている家で間違いないぞ。そこを教えて欲しいんだが」
「いいわ、お礼も兼ねて連れて行ってあげる」
香里の申し出を断わろうかと思った祐一だが、また道に迷うと洒落にもならないので申し出を受ける事にした。
「悪いな、お願い「それじゃ、いきましょう」」
祐一が話し終えるのを待たず、栞が祐一の腕を取って歩き出した。
〜つづく〜
Valkyrie
HEAD |
MHD−RE/005 |
CORE |
CCL−01−NER |
ARMS |
MAL−GALE |
LEGS |
MLM−MX/066 |
BOOSTER |
MBT−OX/002 |
FCS |
AOX−ANA |
GENERATOR |
MGP−VE905 |
RADIATOR |
RMR−ICICLE |
INSIDE |
NOTHING |
EXTENSIN |
MEST−MX/CROW |
BACK UNIT R |
CWC−GNS−15 |
BACK UNIT L |
CRU−A102 |
ARM UNIT R |
MWG−RF/220 |
ARM UNIT L |
CLB−LS−2551 |
COLOR |
R・G・B |
BASE |
200・200・200 |
AID |
0・0・108 |
OPTIONAL |
182・124・0 |
DETAIL |
200・0・0 |
JOINT |
90・80・60 |